東條康江さん・・・歌人。青松園在住です。 ー旅友園訪問ー
目の前にて津軽じょんから聴かせくるるその声凛ととして澄み透る
陸奥で聴きし津軽じょんからの美しき声の未だに耳に残るも 陳列のこけし大きも小さきも顔の床しくこころ魅せらる 青森を訪いし記念に求めたる小さきこけしの顔優しけれ カラオケに合わせ民謡歌手の唄う演歌のひびき甦りくる 政石 蒙さん・・・歌人。青松園在住です。 ーひたすらにー
骨折の足首固定せるギプス重たし体重の増えしと笑ふ
労りに甘えるすべを身につけるよき機会かも歩けぬ今は 目的のあるはよろしも歩き得るためのリハビリ四月目に入る 歩行器にすがり廊下を行き来しつつ何も思わずひたすら歩む 歩行器を頼りに歩むわれの腹帯取りつつ友に歩みくるるも 松浦篤男さん・・・歌人。青松園在住です。 −故里の土ー
らい故に追われし故里の土を踏む生かされて踏むしみじみと踏む
らい故に追われ夜の間に去りし道世は遷り招かれて帰郷す 病み籠る日々に見ときに歩きしか杉林に入れば生気湧くなり 故里の空気胸いっぱいに詰めおかん紅葉の山に深呼吸する 不治の病に罹りて六十八年かなお生かされて旅を楽しむ 山本登志子さん・・・歌人。「黒曜座」同人です。 −遠き故郷ー
遺骨なき父の墓標に祈るらむ巡り逢ひたし今世のあなたに
夢に浮かぶ生命授かりし小倉の町帰りたけれど遠き故郷 紫の川に花束ひとつ沈め七年経たりぬ帰りし日より 父・母はすでにいまさず故郷の紫川の水面揺れおり 人の生命養ふ水の重かりきその水に沈む我が父の魂 |
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