投稿作品
健やかに生きる  東條康江さん・・・青松園在住     「青松」666号所収
長梅雨明けて軒場の風鈴音色やさしき心なごめり
長梅雨のようやく明けて油蝉短き命燃やすごと啼く
太陽と雨の恵みを頂きて実りし西瓜膝に重たし
美容師に頭あずけてここちよしレザーカットの音を聞きおり
健やかに過ごせる日々のありがたし主イエスの恵みに生かさるる我
   松浦篤男さん 遺歌集(13)・・・青松園     「青松」666号所収
病棟の間の草生に咲く芙蓉去年の花がらつけたるままに
夏の早りなほ続きつつ彼岸きぬ庵治の石切場白く乾きて
級友の一家心中遂げし聞く独り身われに如何なる死がくる
生活苦のあはれと言へどうかららと共に死ぬるを奢りとも思ふ
身障者手帖使ひて半額の切符買ふ窓口に人の空く待つ
   政石 蒙さん 遺歌集(20)・・・青松園     「青松」666号所収
死の灰にただれし顔をアメリカの医師に診せつつ固く笑へり
老朽の観測船が台風のなかに入りゆく特攻隊めきて
五年あまり寮父をつめ礼状を認むることも巧になりぬ
五才にしてらい病む未知男病気とも知らで毎日たのしく遊ぶ
プレゼントを籖にて頒つ童らのさわぎを見をり心さびしく


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