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水曲線 東條康江さん・・・青松園在住 「青松」673号所収 |
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■ 七時間機に乗りて来しハワイ島夏の国汗ばみにけり
■ ハワイ島風も空気も南国の匂のみつる島なればなり
■ ワイキキの浜辺を走る車中にはただ喚声のあがるのみなり
■ 己が眼で見定めたしと思ふなり水曲線の生きてる地球
■ 砂浜に降りれば靴のずぼずぼとめりこんでゆく砂やわらかし |
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松浦篤男さん 遺歌集(20)・・・青松園 「青松」673号所収 |
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■ 幾百年の風雨の中に細りつつ木目あらはに屋根を支ふる
■ 薬師寺を一めぐりして西塔の礎石のたまり水にわが影うつす
■ 大仏殿のひときは高き屋根が見ゆ登りゆくバスのカーブせしとき
■ 朝の日は明るく低き靄のなか唐招提寺の森が見えきぬ
■ あかときの堂に蝋燭の灯のゆれて古き仏具のにぶく光れり |
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政石 蒙さん 遺歌集(27)・・・青松園 「青松」673号所収 |
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■ 友の死にこころ俄にせかれつつ歌稿の類の整理をはじむ
■ 物冷ゆる季節にて海の一ところ座礁の船がそのままにあり
■ 理屈抜きで生きゐる我の耳もとに若き一人の縊死を伝へる
■ らいを病みいのちを断つもありふれし悲劇とわれは昂りてゐる
■ 縊死ありし今朝の井戸傍生きている者の傍若無人の噂 |
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