|
|
|
|
|
松浦篤男さん 遺歌集(28)・・・青松園 「青松」681号所収 |
|
■ 散らばれる壁土しづめ毀されし家跡あかるく寒の雨降る
■ 普請場に並べ干す板匂ひつつふるさとにわれ帰りし思ひ
■ 潮干きて露はとなりし暗礁の黒々として寒の極まる
■ 昨日より雨降りつぎて冬ぬくし島の一筋の道ぬかるみて
■ 傷絶えぬ足にも真白く繃帯を巻きかへて新しき年を迎ふる |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
政石 蒙さん 遺歌集(35)・・・青松園 「青松」681号所収 |
|
■ 洗濯の手を止めてきく俄の死両手の泡を庭へふりきる(小見山和夫兄逝く)
■ 生前を疎遠にありし人までも蹤かしめて靈車海に沿ひゆく
■ 葬より帰りくるみち鉄骨のうへに働く人のまぶしき
■ 焼けのこる義眼双手に掬ひとりふきかけてひそかに磨く
■ ふるさとへ帰る遺骨を送りきて花粉をこぼす松の下過ぐ |
|
|
|
|
|
|
Copyright © 2006 各作家さま, all rights reserved.