投稿作品
巣立ち  東條康江さん・・・青松園在住     「青松」630号所収
巣立ち行く児童の未来信じつつ我は送りぬこの晴れの日に
子ら居なくなりたる島の小学校三月末に休校となりぬ
園内を自転車に乗り歓声を上げて遊びし子らいま何処
故郷の同級生も七十路の半ばとなりて皆老いにけり
電話にて我の安否を問いくるる故郷の友ありがたきかな
齢八十   松浦篤男さん・・・青松園在住     「青松」630号所収
骨までも朽ちる病に耐へに耐へ八十歳を遂に迎へぬ
療園にゐるゆゑの八十歳なるか骨まで朽ちる病なりしに
八十年生かさるる骨までも失せる病に医学進みて
病ゆゑ一日とて自活叶はぬに八十年生き罪の如しも
不具の身にまた薬飲む八十歳他力頼みに生かされてなほ
春愁  政石 蒙さん・・・青松園在住     「青松」630号所収
職員の子ら居なくなり閉校の校門脇の桜咲き満つ
光るもの並べて眩しく俯きて今日の思ひを運びゆくなり
無党派層なる捉へどころ無き力に振り回される候補者
宗教の枠に縛られ殺し合ふ異国の惨事聞かぬ日のなし
国家とふ枠に縛られ強ひられし愛国心が人を殺めき


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