|
|
|
|
|
終末を生きる 東條康江さん・・・青松園在住 「青松」657号所収 |
|
■ 療園の終末生く老い二人朝茶を呑みて一日はじまる
■ 子や孫は我らの老になけれども静かに茶を飲む幸せのあり
■ 介護婦に頂きし賀状読みもらい健やかにいる友を喜こぶ
■ 草津より花インゲンのナットウを送り下さる人あたわりて
■ ナットウを口に入れつつ茶をすすり生きる幸せしみじみ思ふ |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
松浦篤男さん遺歌集(4)・・・青松園 「青松」657号所収 |
|
■ 繃帯巻きサポーター嵌め麻痺したる足に時かけて旅支度する
■ 降り立ちし庵治の港は玉筋魚(いかなご)のしるく匂ひて人影のなし
■ 島を発ち岬廻れば本航路巨船の波にわが船ゆらる
■ 男木島南を受くるひとところ古き人家がひしめきて建つ
■ 澄めるあり濁れるありて讃岐路のどの溜池も水満ちてをり |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
政石 蒙 遺歌集(11)・・・青松園 「青松」657号所収 |
|
■ 歌会果てて友ら帰りし夜の更けに冷くなりし茶を独りのむ
■ 癩を病む苦に耐へきれず自殺せし母は母なり我は生きゆかむ
■ 玩具の鶏の腹より転び出し瀬戸物の卵が灯にひかりをり
■ 玩具の鶏が産みたる瀬戸物の小さき卵を手にあたたむる
■ 埋火のほのかなる温みに手をかざす夜更は殊にこころ渇きて |
|
|
|
|
|
|
Copyright © 2006 各作家さま, all rights reserved.