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熱き絆 東條康江さん・・・青松園在住 「青松」662号所収 |
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■ 妹と呼べる人吾にあたわりぬ姉妹の絆深めゆかまし
■ 取りえなき吾を姉と呼び下さりぬ摂理の聖手が祝福か
■ この絆死ぬまでまもる電話にていえる八重子の熱き心よ
■ 愛娘あずけて夜勤に来しナースみとられ我ら眠につきぬ
■ 夜が明ておはようの声に母の顔のぞかすナースにお疲れ様ね |
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松浦篤男さん 遺歌集(9)・・・青松園 「青松」662号所収 |
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■ 今は亡き母の匂ひす垢じみて黒き厨の土間に立つとき
■ それぞれに生業を持つはらからのはずむ話をわれは聞くのみ
■ 茶を摘みに妹も出でてその子らの散らかす本のなかに居睡る
■ チェンソーの唸りの止みて静かさのかへる山路に鷺の鳴く
■ 焼山寺の嶺まで桜咲きのぼりふるさとに十日がはや過ぎむとす |
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政石 蒙さん 遺歌集(16)・・・青松園 「青松」662号所収 |
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■ 生きておれば何かがあると思ふこと少なくなりて秋風の吹く
■ かたちなき堀に譬ふることもあり島のめぐりの静なる海
■ わが逝きしのちのことなど思はれてほろほろと早く昏るる枯原
■ 枯木とも見えゐて日毎暗かりしなだりの木々のみな芽ぶき初む
■ 遠離にも似て姉の死も父の死も長く日を経て我は知りたり |
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