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引越し 東條康江さん・・・青松園在住 「青松」671号所収 |
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■ 新しき家ができたで越せよとて園の命にて我ら転居す
■ 新しき家賜わりたりしなれど手足に知覚感覚視力なく
■ 職員の多くの手を借り引越しの準備整い越す日迫れり
■ 見えぬ我なにも出来ねど作業する人の安全を祈り居るのみ
■ 新しき我が家となりし部屋に座しここに主イエスもともに住みませ |
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松浦篤男さん 遺歌集(18)・・・青松園 「青松」671号所収 |
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■ 牛の息夜々に聞きつつこの納屋に隠れ病みしも遠き日となる
■ 納屋に寝て母屋に食ひに行く日月重ねて我の病重りき
■ 手と足の腐る病をかなしみて食絶ちし日も今はなつかし
■ 空き家となりし草屋根の煤けたる軒下に転がる麦藁帽子
■ 雨の降る今宵は煤の匂ひつつふるさとの家に十日を過ごす |
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政石 蒙さん 遺歌集(25)・・・青松園 「青松」671号所収 |
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■ 紫の尾をかがやかし蜥蝪這ふ編集室の暑き午すぎ
■ らいを病む男が二人機関誌のゲラ検べをり希望を捨てず
■ 新しき霊柩車とり巻き一番に乗るは誰かなどと気軽に笑ふ
■ 代書せる歌稿届けて茶をよばれ肩もみもらひ話はづめり
■ 博打にて負けたる彼に意見せしからには幾らか貸さねばならぬ |
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