詩と詩集の紹介
第8詩集 「愛の詩集」
「愛の詩集」より
突 く
あなたが
一度ふりむかなかったというだけで
私はこんなに暗い
ひと言たりないと思うだけで
こんなに痛む
私は
あなたの一挙一動で
愛の尺度をはかっているようだ
でもあなたはきっと
ふりむかないだろう
いつもひと言
私にとって欲しい言葉がたりないだろう
そして私は
暗いだろう
いつもさびしいだろう
この暗さは愛の比重の重い方が
多く負うようにしくまれていて
私はそれを
負う方の役割にあるようだ
初夏の光のまぶしい道で
なにごともないように
すんなりとほほ笑みながら
内側から突くものを包んだまま
肩を並べて歩いている
再販後記より
この詩集は、今まで出版したどの詩集の系列の中にも入らず、その外側でノートの中にひっそりとおかれていた詩を、一冊の詩集として編んだものです。(初版後記より)
最近、作者の私が読み返してみましても、この詩集の中の感情がしめる役割は大変はっきりとしていて、人が生まれて生きてきた感情の中でより重要な役割をしめていると思います。
人は一度は恋をするもので、そして結婚し子供が生まれ、人類の子孫が受け継がれていくのですが、そのことを思いますとき、この感情はどうしても一度は書いておくべきものと思います。そして、ここに書かれたものは若い日の愛で、自分のことながらとても瑞々しく美しいと思いました。
読者の皆さん、愛を語ってみませんか。楽しんでみませんか。
そして、意義ある人生に出発しましょう。(再販後記より)
この詩集について
全42篇で、1986年に出版された第8詩集です。
絶版になっていたのですが、改訂版が再販されました。
また、でじたる書房より電子書籍としての入手も可能です。
ここでも随時ご紹介していきますので、お楽しみに。
メモ
初版・1986年8月18日、海風社発行。絶版。
改訂版・2006年9月18日、海風社発行。装幀・高橋啓二・・・主に京阪神で活躍をされている装丁家。
2007年10月30日、でじたる書房より電子書籍として発行。