全詩集を出版することなど、遠い話と思っておりましたが、この度は、思いがけなくも自分の日常のなかでふっといつかは訪れるであろう死を凝視する機会を得ました。それはまた、きりよく生涯の仕事をまとめて死にたいと思うようになり、振り返って見ますといつの間にか十九冊の詩集があることに気づきました。そして、それを全集として、一巻、二巻、三巻というようにまとめることが良いのではないかと思うようになりました。一度に三巻は無理ですので、まず第一巻を出版し、来年以降順次発行して行きたいと思います。全詩集は、はからずも私の詩作の集大成となります。私としては読んでいただけることが嬉しく、ひたすらに全三巻の出版を楽しみにしています。詩集を出版する毎に、読者の心のこもったお便りを頂き、励まされました。この機会をお借りして御礼申し上げます。また、詩作の初めから現在に至るまで、常に私を導き続けて下さった大岡信先生に深く感謝しています。(第一巻後記より)
読者の皆様お元気ですか。私も何とか元気にしております。一昨年、昨年と続けて出ました「塔和子全詩集は好評で、多くの方にお読みいただき嬉しく思っています。さて、いよいよ第三巻の出版の運びとなりました。私は元気といっても、ハンセン病の後遺症と二年ほど前からパーキンソン病を患っているため、編集はご好意あふれる方々にお任せしてきました。これで「塔和子全詩集」全三巻が揃うことになります。最終回の三巻には、これまで詩誌等に寄せた随筆と未刊行の詩を載せることにいたしました。長い詩作生活の途上では、精神的、物質的に多くの方々のお世話になりました。(中略)最後に五十年間夫として人生を共にし、また詩作する私の良き教師であった天上の赤沢正美さんに、こころから感謝したいと思います。(第三巻後記より)
書籍
第1巻に「はだか木」「分身」「エバの裔」「第一日の孤独」「聖なるものは木」「いちま人形」が収められています。
第2巻に「いのちの宴」「愛の詩集」「未知なる知者よ」「不明の花」「時間の外から」「日常」「愛の詩」が収められています。
第3巻に「見えてくる」「記憶の川で」「私の明日が」「希望の火を」「大地」「今日という木を」と未刊詩篇が収められています。
電子書籍
「塔和子全詩集 上」(でじたる書房)「はだか木」「分身」「エバの裔」「第一日の孤独」「聖なるものは木」「いちま人形」「いのちの宴」「愛の詩集」「未知なる知者よ」「不明の花」が収められています。
「塔和子全詩集 下」(でじたる書房)「時間の外から」「日常」「愛の詩」「見えてくる」「記憶の川で」「私の明日が」「希望の火を」「大地」「今日という木を」「人物」が収められています。