書 く
出版したばかりの
詩集をかかえてまぶしい道を
わくわくと
つんのめりそうに歩く私は
恋する女か
その恋人を
さかのぼりさかのぼり
「はだか本」という第一詩集につき当たる
そこから私の詩作りは本格化して
十八冊目のこの詩集
地獄のような年月に
書きつづった私のエキス
おまえは
不幸の産物
不幸ゆえに書き得た幸せの産物
みごもっては産み出した
日々を重ねて
いまあるおまえ
しかしいまはもう平穏が好きで
ねむたい私
けれども
おまえにひきおこされひき起こされ
しながら書く
そしてあるときそんな自分を
鬼のような目をして
かっと見すえている
すべての始めは大地からです。土と水と太陽からです。母なる土のないところからは、なにも始まりません。 大地の上のひとつである私という生きものも、喜怒哀楽すべての感情にゆさぶられて、こんなにも豊かに複雑に生きてきました。そして、その証である詩を残してきましたので、ここにその詩を記してみます。 生きて書ける、このことはなんとすばらしいことでしょう。地に足をつけて、しっかりと生きてゆきたいものです。
全42篇で、2002年に出版された第18詩集です。 電子書籍としてでじたる書房より入手可能です。ここでも随時紹介していきますので、お楽しみに。
2002年10月1日、編集工房ノア発行(絶版)。 装画・岡 芙三子・・・抽象画の画家 2008年8月6日、でじたる書房発行。