味
文章には
それぞれどくとくの味がある
人のしぐさにもさまざまな味がある
みんなそれぞれの味をもって生きている
私よ
おまえにはどんな味があるか
それは自分にはわからない
今日あるひとが来てくれて
さわやかな後味をのこしていって下さった
それだけでよかったと思うのに
人が去ったあとのこのさみしさは
また別
ああ
出会いの喜びを味わい
別れの悲しみを味わい
人生の旅の途上は
休む事をゆるさない
そして私は
生の初めの
母なる味に支えられて
いい味だけをあさり
昆虫のように
生きている
どんなつらい時も、向こうにかすかながらでも希望の火が見えていれば、人は堪えられるものだ。 今の私はうなぎであると詩いましたように、人の館にたてもこり自分のような身体不自由者でも、安心して外へ出られる世間になることを、希望として待ちたい。そして、大らかな幸福感のおとずれるのを待ちたい。
全42篇で、2002年に出版された第17詩集です。 でじたる書房より電子書籍にて入手可能です。ここでも随時紹介していきますので、お楽しみに。
2002年4月15日、編集工房ノア発行。絶版。装画・岡 芙三子・・・抽象画の画家 2008年7月3日、でじたる書房より電子書籍として発行。